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エインセル

エインセルは人類によって開発された高度な知能を持つロボットのうち、人型の外見をしたものの総称である。
人類が居なくなった後その管理はVISIONへと移行し、現在はミネルヴァおよびディスパテルの間に溶け込んで生活している。

概要

エインセルとは、惑星ビアンカで人類の支援を目的として研究・開発されたロボットのうち、人型の外見をした個体の事である。
広義には高度な自意識を持つロボット全体を指す言葉だったが、人型のエインセルが多く人類の間に流通するにつれ「エインセル」は専ら人型に対して呼ばれるようになった。
製造時点で遺伝的アルゴリズムを活用することで同型機でありながら同一の外見や性格・思考を持つエインセルは存在しない。それが人類の居なくなった後でのエインセルの進化の原動力であり、また人らしさの表現に一役買っている。

沿革

AI「ネハーレン」が完成したのち、ネハーレンの研究データ、蓄積した学習を利用して、高度な自律AIを搭載したロボットをつくる研究として着手されたのが「エインセル構想」の始まりである。
ネハーレンの高い認識力・判断力を受け継ぎ、人からの指示がなくても単独で長期間の作業に従事することができるため「自分自身」という意味の妖精から「エインセル」と名付けられた。
ネハーレンのデータを参考にしているため開発初期は彼女と同様の性格を持っていたが、VISIONイナートの完成やネハーレンの意識構造の解明が進み、個人差を出すために遺伝的アルゴリズムを組み込むようになってからは性別だけでなく様々な性格を持った個体が出回るようになった。
その後、万能型と呼ばれた人型の登場によって専らこちらの方をエインセルと呼称するようになり、本来のエインセルであった人型でない個体群をフェノゼリーと呼び区別する事になり現在に至る。

特徴

多くのエインセルは必要に応じて外部装置の取り付け・既設装置の付け替えを行うことができ、接続プラグの規格もほぼすべての型で統一されているため、人型エインセルが航空用の主翼等を取り付け飛行することが可能である。そのため、あるていどの環境下であればフェノゼリーと同等の作業をする事ができる。
人型の形態を取った事から人類が使う道具を使いこなす事ができる。その反面衝撃に対して弱いことや、電力を得る為に定期的に食料を摂取しなければならない。
人型のエインセルが活躍する場としては、人の介護や活動補佐の他、災害で閉じ込められた場所への侵入や人命救助等、医療の現場など外見が人であることが望まれる現場に投入される。

フェノゼリーが全身機械の身体であることに対し、エインセルは生体であることが大きな特徴としてあげられる。
そのため怪我をした際には人類と同じように止血する必要がある。
⇒ACID

成長するエインセル

人型のエインセルが開発されてしばらく経った後、数人の開発者が集まり人のように成長するエインセルを開発した。
これまでのエインセルはVISIONのように無限大の記憶容体を所持することが出来ず、知能は高いもののある意味「決まり切ったパターン」でしか動作させることが出来なかった点。
そして目的に応じて逐一プログラムを書き換えなければならなかったというこれまでの欠点を克服し、単一のプログラムに対して「教育する」ことでより人らしく振る舞い、より複雑な命令にも応えうる原義通りのエインセルの完成という目的のもと開発された。
この「成長するエインセル」には、ゼロから成長するという特徴を持たせるために基幹部分を複雑かつ包括的なプログラムで構築した。そのため副次的に本体部品の交換や感情・行動系の書き換えを防ぎ、兵器としての転用が出来ないという特徴も併せ持っていた。しかし、その反面初期不良に対して修復を行うことが出来ないという欠点も併せ持つことになってしまった。
しかし、長い年月の果てにエインセルは既に単なる作業用ではなく人の輪を取り持つ存在になっていた為、事故などで一部の機能を失ってしまったエインセルの修復を希望する声が次第に高まり、以降この欠点を修正するべく改良及び修正が施されることになる。しかしそれは後述の軍事転用へのきっかけを与えてしまうことにもなった。

軍事転用へ

人類の活動の場が惑星から宇宙に移行し、危険な任務での人的被害を減らすことができる利点からエインセルの導入が決定されるのに時間はかからなかった。
初期は各任務に特化したエインセルを開発することで対応した。生物を殺すという負担を抑制するため感情を抑え、痛覚を外したエインセルが各々の戦場へと派遣されたが、戦況が刻一刻と変化する中で次第に幅広い状況に柔軟に対応する必要性が出てきた。そのため、次第に人型のエインセルに武装させたものにとって代わられ現在に至っている。現在のエインセルに機体能力および基本任務記号が標準で付与されているのはその名残である。 しかし、専門に開発されたものと違い、感情や痛覚の抑制がなされるには至っておらず、エインセルへの心理的負担が大きいのが現状である。
人の形をしていることや、エインセルが恐怖したり、痛がったりするなどの反応が相手の攻撃を鈍らせることを狙って感情や痛覚の除去をすべきでないという過激な意見もあり、過去にはエインセルの人権を保護することが急務となっていた。