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マリネリス王国

マリネリス王国とは、大陸の南西端に位置する小さな王国であり、自然環境に恵まれた豊かな農業国家である。
厳密な成立年は分かっていない。高い山脈に阻まれたため遠い昔の戦火を逃れたと言われており、事実戦火の痕跡は確認されていない。大戦以前に存在していた“第二世代”の生き残りという説もあり、その当時から文明を捨て農耕民族として存在していたと考えられている。

地理

国土の多くは南回帰線以南にあり、北を除く3方を海に囲まれている。海岸線は崖になっている部分が多いが、数少ない砂浜もある。北は高い山脈に阻まれているため国内外への移動が困難であり、入出国する人の数は少ない。しかし、四季が存在し国土の南部を中心に自然がそのままの状態で残っていることが多く、国王が国を挙げて観光地としての開発を積極的に行った結果、近年では年間を通してたくさんの旅行者が国を訪れるようになり、旅行者から「楽園」と呼ばれるようになった。
一年を通し温暖な気候であるが、冬は山岳部を除いた国土のほとんどが雪に閉ざされる。国土の多くが森林で、平野は少ない。

主要都市

首都イアンニは国の中心より若干北に位置している。開発計画が開始された1580年以来近代化が進み、王立図書館や市場が新たに建てられた。
国の最南端に位置する村パテラは昔のままの田園風景が残されており、この地域を見るために訪れる旅行者も少しながら存在する。この周辺では果実と米の生産が盛んで、涼しい気候で育てられるリンゴはきわめて高い品質を誇る。特にベルガモット家のものは深紅の宝石という愛称で呼ばれ高値で取引がされている。
エリシウムは国境に存在する中継都市で、標高4000メートルに存在する世界で一番高い都市である。ここは広大な山脈に阻まれた唯一の玄関口であることから「グルームブリッジ」という愛称で知られている。入国管理の他に標高が高く寒冷なことを利用して大規模な市場も開かれており、国内で作られた農作物が連日競りにかけられている。

外交

高い山と断崖絶壁に阻まれているため、友好国は少ない。
隣国のケフェウス大公国とのみ国交を持ち、国外から旅行者が多数来るものの、国内から外へ出る者は非常に少ない。
海岸線にある村のほとんどは漁村のため大きな港はなく、輸入出の99%はグルームブリッジを通して行われている。

経済・産業

農業はもとより林業が盛んに行われており、土木技術に優れているだけでなく、金属加工などの技術も持っているが生活必要最低限レベルであり工業が発展しているとは言いづらく、国内で人工的な材料を見る機会は少ない。特に南部の未開発地帯はその傾向が顕著に出ており、農業、林業だけでなく鉄の生成から加工までも国内で独自の技術を持っており、輸出量に比べ輸入量が極端に少ない。
これまでは農業を行うだけの農耕国家であったが、絶対歴7940年頃に国王が景観や風土を生かした観光地としての国づくりを推し進め、北部を中心に開発が進められた。当初は観光客による環境や伝統の破壊などを懸念した声もあったが、山岳部を中心に国道が大きく整備された。これは観光客だけでなく輸入出の馬車の交通量が増えることにもつながり、開発よって大きな経済効果を得ることにもなった。反面南部はほとんど観光客が訪れないことから開発は進んでおらず、のどかな風景が残されている。

自然

自然遺産に恵まれた国家である。山地が多いことから多くの川が国土を流れており、その川を中心として生活圏が形成されている。
大陸全土にそのままの自然が残されており、特に南部に向かうにつれて人の手が全く入っていない森や林の面積が増えていく。
古来から田畑を耕して生活を営んできたため、今でも至る所でのどかな田園風景を見ることができる。

文化

国土の中部と南部で農業が、沿岸部では漁業が盛んであり、自給率は250%を上回っている。主食は米を中心とした穀物と豆類。他に畑で育てた様々な野菜を多く食べるほか、沿岸部では魚介類や海藻が食べられている。
四季が存在する為、春から秋にかけて様々な野菜が収穫され国内に流通しているが、逆に余計な殺生を忌避する風潮が根強く、狩猟によってわずかに取れる分を除いて獣肉はあまり食べられていない。
代わりに酪農は中部から北部にかけて行われており、乳製品や卵などが貴重なタンパク源となっているほか、沿岸地域では魚介類も多く食べられている。しかし魚介類は腐りやすいことから内地までは流通していないため、中部から北部にかけて魚の調理法を知らない国民も多く存在している。
また箸を使って食事をするのもこの国の特徴である。金属類は農具などの道具の方へ回されるため、食器には木製のものが多く使われていることも起因している。

人の将来を草木に託すという考えが古くから残っており、国民の名前はすべて植物の名前から命名される。また死後は火葬され、灰は田畑に撒かれる。これは昔から国民が自然と共に暮らしてきたためであり、自らも自然から産み落とされたという考えが国民に浸透しているからである。
自然と共に生きる、という基本理念が国民に浸透しており、自然に最も精通した呪術師の家系が代々国王として国を統治している。