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惑星史

ここでは惑星ビアンカへの人類の入植から現在に至るまでを記す。

惑星ビアンカの発見(新生代第一紀 始新世)

惑星ビアンカは、居住可能な惑星を探す”ソーラーツインプロジェクト”の過程で発見された惑星である。その後の詳しい調査で“陸地が狭くやや居住に難あり”との評価が下りるものの、それを除いては地球とほぼ同等といえる環境を有していたことから他の候補惑星と共に移住計画は実行に移されることとなった。これが惑星ビアンカの始まりである。
その後テラフォーミングが進み陸地面積が増えてくると、その温暖な気候から人々を惹き付けるという意味合いを込めて「ビアンカ」と呼び親しまれ、居住だけでなく人類にとって重要度の高い研究を行うための施設が多く建造されるようになった。絶対暦350年頃には生物学と工学を中心にテクノロジーが大きく進歩し、劣悪な環境にも強い動植物や「VISION」「エインセル」等、高度に発達した知能を持つAIが開発されるなど、大きな成果を挙げた。

惑星の放棄

それから約100年が経ち、星系に隕石群が多く飛来するようになると状況は一変する。原因は不明だが、ビアンカの外周に存在するアステロイドベルトが重力場の変動を受けて太陽に向けて引っ張られたという説が有力である。始めは軌道上の防衛兵器で遠距離からの破壊を行っていたものの、数が増えるに従って次第に対処できなくなり、そのうちの一部が惑星ビアンカの地表にまで届くようになると隕石による衝撃のほか、そこから漏れ出た毒性の強い物質(現在では魔力と呼ばれている)が大気中に発散し、大都市をはじめ多くの生活圏に壊滅的な被害を生じた。
この未曾有の災厄に対して惑星政府は惑星ビアンカの放棄を決定、即座に避難作戦が開始される。しかし、隕石による被害は地上設備はもとより軌道上に配備されていたFTLゲートにまで及び、避難作業は困難を窮めた。
隕石が火山活動を誘発し大規模な森林火災が発生すると、塵や煙がエアロゾルとなり大気を覆いつくした。太陽光が塞がれ地表の気温が低下する頃になると、ビアンカ政府はすべての人類を救出するのは困難と発表し、宇宙港から遠い地域の住民は5カ所ある地下都市へ避難することになった。
惑星を脱出した人類がその後どうなったかはわかっていないが、同時期にゲートの異常動作が確認されており、不安定状態のゲートを使ったことにより、一部の航宙船は事故に巻き込まれたと考えられている。
異常動作の後ゲートは大破し、ビアンカと他の星をつなぐ航路が失われた他、環境の激変から再開発は困難とされ、事故の惨劇の記録を残しビアンカの存在は人類から忘れ去られることとなる。
ビアンカに残された人類は、長い年月の末環境に適応する能力を身につけ、それぞれミネルヴァとディスパテルという二つの種に進化した。

第二世代の繁栄(新生代第二紀 更新世)

地下都市に残された人類は隕石と火事による「冬」で地表に出られぬまま遺されたテクノロジーとともに地下都市で生活を続けた。都市内に流入してくる有毒な魔力によってその個体数を大きく減らしつつも、魔力に対して対処する力を持つ個体の登場により絶滅は回避されることとなる。その特徴は子に孫に引き継がれ、特徴の違いによりそれぞれ「ミネルヴァ」「ディスパテル」という二つの種族へ進化する。
進化した種族のうち、ミネルヴァは魔力などの異物の一切を体内に侵入させないよう体細胞が強化され、魔力だけでなくウィルスや微生物等からも自身を守る術を手に入れた。
ディスパテルは体内に蓄積した魔力を放出するという特徴を発展させ、魔力を水や炎など自らの望む形に変化させて放出させる術を手に入れた、それは後により能動的に魔力を取り込み使用することにつながり、寿命と引き換えに豊かな技術を発展させた。
しかし、非常に長い時間を地中で過ごしすぎた結果、両種族の根底には保守的・防衛的な意識が刻み込まれてしまった。その感情は冬が明け地表に進出した後もずっと消えず、今度は他の地下都市に暮らしていた住人への強い敵意・警戒心となって現れることになる。

世界大戦から崩壊へ

絶対暦6500年。地上に進出した両種族は、はじめは都市近辺でエインセルの力を借りながら開拓を行った。安定的に食糧が供給できるようになると、さらに活動範囲を広げる者が出るようになる。開拓者と呼ばれた彼らは、テクノロジーとエインセルを駆使し生活圏を拡大していくこととなる。そして地上に進出してからわずか100年で、5つの都市を中心に5つの国家が成立し栄華をきわめた。その間に他国人への強い警戒心は長い領土争いの中で徐々に明確な敵意と変わり、20年後にはすべての国家が世界大戦を勃発させることとなる。
人々の争いから始まった戦争は次第にエインセルに取って代わられ、戦争による被害は拡大していった。大型兵器による無差別な攻撃は街や村をことごとく焼き尽くし、抵抗力を失った国家に対しても最後の一人を絶滅するまで攻撃をやめようとしなかった。やがて三つの国家が崩壊すると、危機を感じた3基のVISIONによる判断で残った人類を無力化するための攻撃が開始され、戦争は強制的に収束することとなる。
残された数少ない人類はVISIONやエインセルの他戦争に利用された技術を恐れ、すべてを地下深く埋葬した。そして技術を捨てた人類は原始的な生活から再スタートすることとなった。

崩壊からの復興(新生代第二紀 完新世)

広い土地に少数ずつちりばめられた人々は、明日も知れぬ原始的な生活を始める。そのうち徐々にディスパテルは北半球に、ミネルヴァは南半球に住み分けるようになり、両者の交流は一度完全に途絶えることとなる。
絶対暦6700頃には居住や耕作などの生活基盤が安定し、早いところでは他の集落との交流や領土争いが始まった。それから500年程経過し、絶対暦7100~7200年を過ぎた頃から各地から地下深く封印されていた過去の遺品が徐々に発掘されるようになった。発掘された遺品はミネルヴァ・ディスパテル双方に産業革命をもたらし、これらの遺品により各国の技術・産業は大きく進歩した。それに伴い人のもとを離れ孤島へと移り住んでいたエインセルが過去の大戦を繰り返さないようにと人々の間の緩衝剤として徐々に人間界へ派遣されるようになる。

現代

7900年代頃に、海洋技術などの発展により長らく途絶えていたミネルヴァとディスパテルの国家としての交流が始まった。一定の距離を保った交流がしばらくの間続いたが、7900年後半にお互いの不和からミネルヴァ・ディスパテル戦争が勃発する。
戦争の発端は両種族の互いに対する知識不足によるものが原因であると考えられており、1年間続いた戦争は両国に深い損害を残した。その後両軍疲弊により停戦協定が結ばれるものの、完全な終結には至っていないと考える者も多く、一触即発の冷戦状態が続いている。
また8000年初頭にはバルジー帝国でエインセルを意図的に暴走させるなどの改造技術が発掘・実験されるなど、徐々に人類は過去のテクノロジーレベルに近づこうとしている。