VISION
VISIONは人類によって開発され、都市および乗り物を管理・管制する大型のAIである。 惑星ビアンカ上には全部で五基造られたと記録に記されているが、その全容は明らかにされていない。
概要
VISION（ VISION is Integrated Service Interface Over Network ）とは、大都市を包括して管理、管制するための「都市型AI」である。
大都市中に張り巡らされたネットワークを利用して、都市全体のインフラ等の全機能を管理するほか、事故等の非常事態を認めると、速やかに当該エリアの遮断や周囲への警告を実施するとともに、警察や病院その他適切な部署へ通報するなどの行動も行う。
またVISIONはすべて人格を有しており、これによって人と対話をしながら都市や設備の情報を収集したり、都市や設備が行うべき次の行動の決定を行う。
沿革・特徴
惑星ビアンカで研究されていたAI「ネハーレン」が完成したのち、一部はネハーレンの収集データを元に人の補佐や進入制限区域での活動を行うために「人型AI」として分化し「エインセル」に発展した。その一方で、ネハーレンをベースに施設や設備の管理及びメンテナンスに向けて発展した「都市型AI」が「VISION」である。
これまでの都市は、建造物からビルまでの一つ一つに専門のAIが組み込まれていたため、学習するAIの定期メンテナンスに膨大な手間と時間がかかる他、二種類以上の設備（ AI ）を接続し、並列的に運用することができないなどの欠点を持っていた。そこで、すべての設備をネットワークにつなぎ、一つのAIで包括的に管理させようという試みがVISIONの始まりである。
VISIONの持つ強力な認識能力を生かし、鉄道から道路等の交通インフラ、電気・水道・ガスなどのライフラインの供給・消費バランスの調整、通信帯域の管理など、都市機能のほぼすべてを掌握し、効率的に運用することができる。特にこのAI の運用で大きな恩恵を受けたのは交通で、事故が発生した時に速やかに詳細を分析し、複数の道路や鉄道を視野に入れて思考することによってリアルタイムに道路の誘導やダイアグラムの改変を行う事が可能となったため、交通渋滞等の解消がこれまで以上に速やかに行われるようになった。
これらの特徴からVISION は人の生活に立ち入って管理を行うため、人と対話を行うための感情を持っている。これはVISION が自分の考えを持っていることで、人の命令に従うだけではなく、時には人と議論を行う事で自身の考え方や学習を高め、かつインフラ等の悪用を防止する役割を持っている。
VISIONの持つ意識や感情は、初期のAIであるネハーレンが学習を重ねるうちに自然に手に入れたものであったが、今ではそのデータを元に様々な性格が作り出され、他のVISIONやエインセルに利用されるに至った。
はじめは大都市の監視・管制などを行う用途で開発されたが、限られた資源を効率的に運用する能力を必要とされ、のちに航宙機への搭載に向けて改良された。
VISIONシステムは非常に大規模な構造（都市自体と取ることもできる）を取るため「―基」と数えるが、人格は「―人」と人のように数える。
制限と例外
VISION自体は、街が効率よく運用するために設備や交通等の様々なものに干渉し、運用する人の命令を受け、または与える権限を持つ。しかし、独自で街や設備の構造を改変する（修理も含まれる）等の過干渉することができない。（人名救助の名目で干渉することは可能）そのため、VISIONは自らと同一の意識を持つエインセルと同等の人型AIを1～3体所有し、例外を設けている。これは、複雑な構造体や危険地域等の人の手の及ばない装置を修復・改変する際や、何らかの事情によって人が行動することのできない状態を想定し、人の代わりに対応を行うためである。都市の規模の割に持てる人型AIが少人数なのは、万一暴走を起こしたときに速やかに拘束することを可能にするためである。
この人型AIはVISIONと人類の中間に立ち橋渡しをするとともに、VISIONの意思を伝える代弁者としての役割も持ち合わせており、複数ある人型AIのすべてが同じ容姿をしている。
この例外は皮肉にも管理者の居なくなった現代において発揮されており、都市の老朽化を食い止めるべく、主が居なくなり無人となった都市でたった3人の人型AIが日々修理を行っている現状に至っている。
派生型
ビアンカで開発されたVISIONは
・イナート
・ベイナイト
・ネハーレン
・ネイピア/デシベル（一基に二つの人格を有する）
・ベアラ
の5基である。しかし、現在エインセルによって確認されているVISIONは「ネイピア/デシベル」および「イナート（所在のみ）」の二基に限られ、それ以外のVISIONの所在および稼働状況は詳しく分かっていない。